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介護過程

icf 介護過程

この研修は、当初サービス提供責任者向けに「アセスメント研修」として作成した資料です。

しかし、介護技術には前提としてアセスメントが存在しており、アセスメントなき技術は介護の質の低下を招いたり、最終的には介護の現場でありがちな「私はこうやってるけどね(=介護のばらつき)」になってしまいます。

そのためサービス提供責任者に限らず、全スタッフに向けて行うべき研修と考え、内容を修正し「介護過程」としました。

当ブログ内の「移乗・移動介助研修」の資料をご覧になる方は、その前に、是非こちらの内容を確認していただくことを切に願います。

 

研修目的(なぜこのテーマで研修を行うのか)

ケーライブでも技術の研修は行っていますが、それほど多くは行っていません。
理由として、排泄、移乗、更衣などの技術には、大切な大前提があるからです。それは何か?
「アセスメント」です。
どんな方法であろうと、アセスメントがしっかりとなされた上で行われる介助方法でなければ、なんの意味もありません。
例えば移乗の介助の際に「介助者、対象者共に安楽」なだけで良いのであれば、単にベッドを一番高い位置まで上げれば良いのです。低い位置から立ち上がってもらうよりも、高い位置から降ろす方が楽だからです。
では、それが対象者の望む生活(=尊厳の保持、自立支援)に近づける事になるのか?という事です。
例えば「住み慣れた自宅で、長く暮らしたい。そのために自分の事は自分でできるようになりたい」との想いを持っている方に対して、上記の様なお互い楽なだけの介助方法で介助を続けていれば、その方の身体能力や残存機能が衰えていくのは明らかであり、本人の望む生活を続ける事は困難となるでしょう。
そして私たちの職場は各家庭(生活の場)、要するに個別性が高いので、技術の研修はそれぞれのお客様宅に合わせて行っています。
今回は「何故、このお客様にはこの介助方法なのか」、そこに至るまでのプロセスを理解して、「だからこの方法での◯◯のような介助を行う」という思考に結び付けてください。
介護過程とは、上の図のサイクルで回っていきます。
順に見ていきましょう。

情報収集・・・ICFの視点で行う。

これまでは ICIDH(障害を機能障害→能力障害→社会的不利の3つのレベルに分けて捉える「障害の階層性」を示したもの)が用いられていました。
しかしながら、障害の捉え方が「障害をマイナス面のみで把握している点」や「障害が直接的に社会的不利につながるといった一方方向の視点」といった問題がありました。
上記の図の例の他にも、例えば足に障害がある人が、旅行に行けないなどの社会的不利があった場合を例に考えます。
痛みや欠損、麻痺(機能障害)などからの歩行能力の低下(能力障害)という足の障害の問題だけでなく、車を運転してくれる友人・家族などがいないことや宿泊先にバリアフリーなどの設備がない(環境因子)、あるいは社会的・制度的に障害者向けの旅行の支援がないことなど様々な理由が存在します。
そのために !
情報収集、情報の視点としてICFを活用する‼
ただし!
この時、環境因子だけに着目してしまうと、訪問介護のアセスメントではなく、ケアマネジメントになってしまいます!
例)・「車を運転してくれる知人に声をかける」、「介護タクシーを利用する」、「歩けないから居宅介護や移動支援を使う」など
私たち介護職員が行うアセスメントは「お客様が望む生活に近づける様にする為にどうやって援助を提供するか」を考えるものです。その為には、特に個人因子の情報が重要になってきます。
※勿論、医療上の生活の制限などは無視できませんから、「健康状態(脳梗塞の既往など)」や「身体機能・構造(右片麻痺である等)」、「活動(一人で立位が取れない等)」も大事な情報です。

アセスメント(評価。見立て、根拠のある予測を立てる事。)

アセスメントとは、情報を基にその方がどうなるか(或いはこうなれるんじゃないか?)という根拠のある予測(仮説)を立てて、サービス内容に結びつける。

サービス内容パターン1

例)分析・解釈・統合・・・このままの生活が続くと脳梗塞の再発が考えられるが、訪問時に熱いお茶や炭酸を勧める事で、水分摂取の意欲につながるかもしれない。また飲んだ量・種類を日記につけてもらう事で、日記の継続にもなり水分摂取量の把握、意欲にも繋がるのではないか。

必要性・・・熱いお茶と炭酸の飲み物を勧める必要がある。本人に日記の促しの声掛け、水分量の確認をする必要がある。

 

サービス内容パターン2

例)分析・解釈・統合・・・孫との関わりに意欲を持っているが、現状の身体能力では負担が大きい。端座位、立位時に数秒間維持してもらい、身体能力の向上が図れるのではないか。またその際に、孫との関わりがイメージ出来るような声掛けをする事で、本人の意欲に繋がるのではないか。

必要性・・・本人の身体をしっかりと支持し、姿勢を数秒間維持する必要がある。孫との関わりがイメージ出来て、意欲繋がる様な声掛けをする必要がある。

訪問介護計画書の作成

アセスメントで考えた事をそのまま記入する。

逆に言えば「先に短期目標だけ出てくる、援助内容が出てくる(アセスがないのに訪問介護計画書ができる)」という事はあり得ない‼

先ほどのサービス内容パターン1のアセスメントから、下記の様な計画書に結びつけることができると考えられます。

短期目標・毎日、水分摂取量を記録する。水分を今より200cc多く摂れるようになる。日記を欠かさず続ける。等・・・(具体的な目標を設定する。数量であれば「評価」しやすい。また概ね、三ヶ月程度で設定する)

具体的援助内容・本人から水分摂取量の確認。コーヒーは勧めない。熱いお茶または炭酸の飲み物を勧める。日記を継続できているかの確認。等・・・

サービス提供・モニタリング

サービス提供については割愛。モニタリングは観察する事です。何を?

「アセスメントで予測した事について」です。

例えば、先ほどの例からの繋がりで考えます。

先ほどは「訪問時に熱いお茶や炭酸を勧める事で、水分摂取の意欲につながるかもしれない。また飲んだ量・種類を日記につけてもらう事で、日記の継続にもなり水分摂取量の把握、意欲にも繋がるのではないか」と考えました。

しかし本当に熱いお茶や炭酸なら、今まで十分ではなかった水分を摂取できているかどうか?それをモニタリング(観察)するわけです。ですからモニタリングは「月1回(の様に頻度を決めて)やるもの」ではありませんし、まして評価とは別物です。

評価(事後評価)

短期目標(計画書を作成してから短期目標が終了する日まで)についてどうなったか?

その進捗を評価するのが、この場面での評価です。

例)○水分を今より200cc多く摂れるようになる。→毎回、200㏄以上とれるようになっていた為、達成とする。

○毎日、水分摂取量を記録する。→週に1回程度しか記録していなかった。未達成。など・・・

しかし‼結果の評価だけで終わらせてはいけません。

「200㏄摂れるようになったけど、あと800位は摂れるようになってほしい、そのためにはどうしたらいいのか?」、「なぜ、週に1回程度しか記録しないんだろう?〇〇な声掛けをしたらやってくれるだろうか?」、「そもそも本人にはあまり意欲にならない(適切ではない)目標だったのか・・・?」など、ここから次の計画作成の為の、想像=根拠のある見立て(再アセスメント)が始まるわけです。

ですからアセスメント=評価、同じ言葉なのに敢えて使い分けていると言えます。

最後に・・・アセスメント、計画書作成をしたら必ずカンファレンスを行って、「なぜこの援助内容になったのか」の共有や、「◯◯◯の方がもっと相応しいのでは?」などといった検討が必要です。

カンファにより、サービスに入るスタッフ全員が共通認識を持つことで、全員が同じ目的を持ち同じ内容のサービスの提供が出来ます(=わたしはこうやってるけどね、が無くなる)。

今回は水分補給と移乗介助のみを例に挙げましたが、これらを念頭に置いて介護技術研修に参加してください。

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